バングラデシュでたくさん採れるジュート(麻の一種で、繊維を取る原料)のくずを利用した手漉き紙は、日本の和紙のように自然の風合いを活かした素朴で味わいの深い紙です。しかしイギリス植民地時代後期には機械化されたイギリスの製紙工場で大量生産された安い紙に市場を奪われ、ジュート手漉き紙は産業としてほとんど壊滅してしまいました。
そこで伝統技術の復活と雇用の創出を通じての貧困対策のふたつを目的として、北米のメノナイト教会がバングラデシュにMCC
(Mennonite Central Committee) という非営利団体を設立しました。MCCはジュート手漉き紙の伝統技術を復活させ、さらに改良を加えて、飾り用だけでなく、ビジネスにも使用できる製品も開発してきました。しかし設立当初の理念を忘れることなく現在でも商業主義に偏らず、生産者の採用にあたっては離婚した女性や未亡人といったバングラデシュ社会では特に弱い立場に置かれている人々を優先して雇用しています。
「村には貧しい家庭が多く、仕事をしたいという申し込みが後を絶ちません。しかし注文が増えない時に雇用者を増やし続けると結局一人あたりの収入が減ってしまいます。いつも雇用と生産量のバランスを考えざるを得ません。作ったものがもっとたくさん売れるといいのですが」とは生産センターの所長さんのコメントです。
(参考:手工芸品を通した身近な海外協力 by NPO法人 シャプラニール)